このページの目次
- 1 ふとん用語集
- 1.1 アイダーダウン
- 1.2 アクリル毛布
- 1.3 インビスタ社
- 1.4 羽毛掛けふとん
- 1.5 羽毛合い掛けふとん
- 1.6 羽毛肌掛けふとん
- 1.7 かさ高性
- 1.8 生地の打ち込み
- 1.9 絹わた
- 1.10 キルト
- 1.11 クォロフィル
- 1.12 グースダウン
- 1.13 ゴアテックス
- 1.14 高分子ポリエチレン
- 1.15 抗菌防臭加工
- 1.16 コンフォレル
- 1.17 婚礼布団
- 1.18 サテン生地
- 1.19 座布団
- 1.20 シャーリング加工
- 1.21 寝床内環境
- 1.22 ストレートネック
- 1.23 睡眠時無呼吸症候群
- 1.24 制菌加工
- 1.25 ソロテックス
- 1.26 そば殻まくら
- 1.27 体圧分散
- 1.28 ダウン
- 1.29 ダウン比率
- 1.30 ダウンパワー(DP)
- 1.31 ダウンプルーフ加工
- 1.32 ダウンボール
- 1.33 ダックダウン
- 1.34 超長綿
- 1.35 手引き真綿
- 1.36 低反発ウレタン
- 1.37 デュエットタイプ掛けふとん
- 1.38 寝姿勢
- 1.39 肌掛けふとん
- 1.40 羽根布団
- 1.41 パイプまくら
- 1.42 PCM素材
- 1.43 フェザー
- 1.44 ふとん定番サイズ表
- 1.45 ホロフィルⅡ
- 1.46 マイクロファイバー
ふとん用語集
ふとんギョーカイ用語(笑)の”疑問・質問・?”を解決します。調べたい単語をクリックしてください。「これってどういう意味?」などの疑問がありましたら、メールで問い合わせてください。
アイダーダウン
アイダーダウンは、アイスランドを中心にノルウェーやカナダ北部などの厳寒地に生息する「アイダーダック(毛綿鴨)」から採集される最高級羽毛です。アイダーダウンを使った羽毛布団は、その原毛の希少価値からシングルサイズで約150万円(!!)位するのが相場(!!!)です。←近年値上がり傾向にあります(恐)
アイダーダウンはアイダーダックが巣作りをする時に、巣に敷き詰められた親鳥の胸毛を人の手で採取する、という方法で採集されます。ひとつの巣から約20gしか採取できないため、年間生産量は2トンに限られます。
このダウンの特徴は、布団にした時の抜群のフィット性につきます。
アイダーを使った掛け布団は嵩が出にくい反面、体にフィットしやすいためふとんと体との間に隙間ができにくく、非常に軽くて保温性があるふとんになります。
また、このダウンの特徴としてダウンボール同士の絡み合いが非常に強い、ということが挙げられます。
これは、アイダーダウンのファイバーが異様に長いためだと推測されます。他の羽毛にはこういった形状のものはありません。
色はグレーと茶色の混ざったような色で「白」ではありません。
→羽毛掛けふとんのページへ
アクリル毛布
毛羽部分にアクリル繊維を使用した毛布です。冬用の毛布と言えばコレ、というくらいの定番商品です。
アクリル毛布には一重のものと二重の物があります。一重のアクリル毛布は”軽さ”が売りであるのに対して、二重のアクリル毛布は”保温性に優れる”という特徴があります。
値段の違いは国産・非国産で差がつくほか、毛羽部分のアクリル繊維の密度で違ってきます。密度の高いものは手触りがよく、値段も高いです。しかし、毛羽の密度の違いは表示されることがないので手触りで確かめるしかありません。
インビスタ社
旧デュポン社。2003年9月「デュポンテキスタイルアンドインテリア」から「インビスタ社」に社名変更した会社です。
コンフォレル・クォロフィル・ホロフィル・マイクロマティークなどのハイテク系ポリエステル素材を生産しているメーカーです。
これらの素材を使った布団は「洗える清潔な布団」として、主にアレルギーをお持ちの方に人気があります。
自社素材を使った商品の品質を守るために、インビスタ社の素材で作ったふとんには厳しい制約がかかっています。
私が知っている制約では「ふとんを作る時、使える生地は打ち込み本数210本以上」、「キルトは30cm×30cm以下」などがあります。
この制約を守れない製造元、小売店には原料の出荷をストップする、というウワサもあります。→洗えるふとんのページ
羽毛掛けふとん
一般的には冬用の羽毛を使った掛け布団を指します。充填羽毛量がシングルサイズで1.2kg~1.4kgのものが多いです。
よく「羽根布団」とごっちゃにされますが、羽毛布団は「ダウン(わた毛)の比率が50%以上」のより上質な掛け布団を指します。
充填されているダウンの産地や比率、使用されている生地、キルトの種類などで売価に大きな幅がある商品です。
近年(2014年初頭)、羽毛布団の充填物である「原毛」がすさまじい勢いで値上がりしています。
その理由としては、
- 鳥インフルエンザ(殺処分される。殺処分された農場からは、最低数カ月は羽毛が出荷されない)
- 羽毛原産地の食べ物の変化(羽毛が取れるダックやグースを食べなくなった。チキンつまり鶏の飼育農家が多くなり、取れる羽毛が減った)
- 中国でダウンジャケットが流行(中国の方の生活が豊かに→ダウンジャケットを買う→中国の人口13億人”!!”→世界的に原毛が品薄に)
- 円安(原毛は、ほぼ100%輸入品)
- 投機目的で買い占めている人がいる?(という説もある)
追記:2016年3月現在では、ダックダウンの価格はちょっと安く、グースダウンは高止まりな感じです。
羽毛合い掛けふとん
羽毛を使った掛け布団の中でも、春や秋など明け方冷え込む季節に使います。
最近では気密性が高く日当たりの良いマンション(つまり年中通して気温が高い住宅)にお住まいの方が冬場を中心に使用される掛け布団です。
充填羽毛量は「0.7kg前後」ですから羽毛掛け布団の6割位です。
羽毛掛け布団を使う時期と羽毛肌布団を使う時期のちょうど中間期に活躍する掛け布団です。
羽毛掛け布団と同じく充填されたダウンの産地や比率、使用されている生地などで売価が上下します。
羽毛肌掛けふとん
夏用の羽毛掛け布団。充填羽毛量が0.4kg以下、つまり羽毛掛け布団の3分の1位のものが多いです。
キルトは直キルト、つまり表地と裏地を直接縫い合わせたものがほとんどです。
羽毛は吸湿発散性に優れているので充填量を加減すると夏でも快適に使えます。
盛夏はもちろんのこと、明け方冷える時期には特に活躍します。
かさ高性
↑羽毛の検査器具↑
メーカーの枠を超えた一定のかさ高性試験によって決められるその羽毛の品質基準のことです。「~cm」という表示で表されます。
メーカーごとの「ダウン~%」という表示に代わって2013年頃にできた表示です。
「かさ高性試験」とは内径29cm、高さ50cmのシリンダーに30gの羽毛を入れ、120gのおもりを2分間のせた後、おもりを取り除いて復元した羽毛の3ヶ所の高さを1mm単位で測り、その平均値を求める試験です。
そもそも、羽毛布団に求められている性能とは羽毛の「軽くて、暖かい」という特徴です。
その特徴の優劣を見分ける為には羽毛の品質がどれだけ優れているか(または、劣っているか)ということを正確かつ公平に表示する必要があります。
そういった観点からみてこの「かさ高性」という表示は優れていると言えます。
が、その後「ダウンパワー表示」がすぐに出てきました。今度は「ダウンパワー(DP)表示」が主流になっています。←何やってんだろ、寝具業界(笑)面倒なことしないでね~。
生地の打ち込み
生地のグレードを表す単位の一つです。
1インチあたりの縦糸と横糸の本数で表されます。
例えば、「打ち込み205本の生地」とは、1インチ当たりに「縦糸132本・横糸73本」の繊維で織られている生地を表します。
糸が細くなると、生地はしなやかで柔らかくなりますが、きっちり編めば1インチ当たりの糸の本数が増えます。
と、いうことは一定の面積を織り上げるために必要な糸の長さが長くなるので、糸の単価があまり変わらなかったとしても、生地の値段は上がります。
主に敷き布団の生地の品質を表すときに「打ちこみ本数」がよく使われます。
掛け布団の生地の品質は40ツイル、60サテン、80サテン等、使われる糸の番手で表される事が多いです。
絹わた
”カイコガ”という蛾の繭を熱水加工して、手で引き延ばしたものが”真綿”。それ以外の物が”絹わた”です。
絹わたで作った布団は”絹ふとん”と呼ばれます。
手引きの真綿と違って、繊維がバラバラなのでわたがダマになったりちぎれ易いという欠点があります。
キルト
羽毛掛け布団の内部をいくつかのマスに仕切っている仕切りのことです。
この仕切りのために羽毛がどこか一か所に固まることがないようになっています。
昔は、キルトが全くなかったり、ふとんの表と裏を直接縫い合わせたり(直キルトと呼ばれます)している掛け布団もありましたが、構造上あまり良くないので、現在はほとんど見かけません。
最近では、表生地と裏生地の間に幅を持たせるように仕切りの布を一枚入れた立体構造のキルトも多くみられます。
また、羽毛がまんべんなく行き渡るようなキルトや、人間の体にフィットしやすいキルトなど、より工夫したものも各メーカーより出ています。
クォロフィル
繊維の切断面を拡大してみると、7つ穴があいています(中空7穴構造)。
この穴のためにより軽くて柔らかいわたとなっています。
繊維が切れにくく、また洗濯がきくのでダニ・ホコリアレルギーの方に最適です。
グースダウン
GOOSE=”ガチョウ”のDOWN=”綿毛(羽毛)”。
羽毛掛け布団に充填される羽毛は、グースとダックの2種類があります。
一般的には、というよりほぼ100%グースダウンの方が良質な羽毛です。
グースダウンはダックダウンと比べてダウンの一つの塊”ダウンボール”の大きさが大きいため、同じ重量充填しても嵩が出ます。
したがって、グースダウンを使った羽毛掛け布団は軽くて暖かい布団に仕上がります。
また、羽毛に含まれるタンパク質がダックダウンより少ないため、羽毛独特の臭いが出にくいです。
ゴアテックス
”GORE-TEX”(ゴアテックス)とは、ゴアテックス社が開発したゴアテックスメンブレンという非常に薄くて強いフィルム状の多孔質素材を生地に貼り付けたもので、2層構造と3層構造のものがあります。
アウトドア用品によく使われますが、ふとんでは西川リビングの”ロイヤルスター”という羽毛掛け布団のシリーズに使われている2層構造のラミネート生地が有名です。
このゴアテックスラミネート生地を羽毛掛け布団に使用すると、ホコリが立たない・ダニが侵入できない・汚れにくい等のメリットがあります。
ゴアテックスメンブレンは、非常に目の細かい”網”のような構造をしておりその穴の一つ一つが水滴の20000分の1という大きさなので、水・ダニ・ホコリ・大腸菌(!!)までシャットアウトすることができます。
実際にゴアテックス生地を使用した羽毛掛け布団は、中の羽毛が汚れにくいので長い間清潔に使うことが出来るようです。
また、ゴアテックス生地は通常の羽毛掛け布団生地と比べ、平均30%軽いので同レベルの羽毛を充填しても膨らみやすいです。
これはつまり、保温層が大きくなるということなので、あったかいです。
高分子ポリエチレン
ふとん業界においての「高分子ポリエチレン」は、夏のひんやり寝具(おもにひんやり敷きパット)に使われているものが有名です。
熱伝導に優れる繊維なので、熱の吸収、放熱が他素材より勝っています。
暑い日に高分子ポリエチレンを使った敷きパットで眠ると、体が触れた時は素早く熱を奪うのでヒンヤリ感じ、寝返りを打って体が離れると、放熱するという繰り返しで一晩中気持ちよく眠ることが出来ます。
※当然ですが、この時の部屋の気温は体温より低くないといけません。
→ひんやり寝具のページ
抗菌防臭加工
繊維上の細菌の増殖を抑制し防臭効果を示す加工です。
「SEK]というマークがつきます。
抗菌防臭加工の場合「SEK」マークは青色です。
また、このマークを発行する際の検査対象菌は黄色ブドウ球菌のみです。
その他の菌に対しての効果は検査されていません。
この加工は”菌を殺す”ことが目的ではなく”菌を増やさない”ようにするための加工です。
コンフォレル
インビスタ社が製造しているハイテクポリエステル繊維。
「コンフォレルダウンエッセンス」「コンフォレル」「コンフォレルスパイラルタイプ」「コンフォレルマイクロタイプ」などの種類があります。
このシリーズすべてに共通するのは、”洗える”・”軽い”・”アレルギーを起こしにくい”ということです。
これらのわたは、アイテムによって使い分けられています。
婚礼布団
ひと昔前は、お嫁さん側のおうちが「正絹」(しょうけん)「綸子」(りんず)等の生地を使い綿わたを入れたふとんを、掛け布団・敷き布団ともに2組ずつ「客用」(!!)として用意し、夏用としてちぢみの夏布団を2枚、座布団は夏用冬用それぞれ5枚づつ準備する、というのが標準だったようです。
しかし、現在はシングルサイズの羽毛寝具5点セットを2つ(もしくはダブルサイズの羽毛寝具6点セット)とカバーリング、毛布などを御本人様用に用意し、来客用には羽毛寝具3点セットを1つ(もしくは2つ)用意し、座布団は収納スペースがあれば購入するといったケースが多いようです。
何といっても、生活様式が昔のように純和風ではないですし、現代家屋は収納スペースに限りがあることも多いですから、昔とはだいぶ様変わりしています。
が、現実問題、結婚された後のご本人さん夫婦はいろいろ出費が多く、ふとんまでお金が回らないということがよくあります。
そう考えると、昔からの習わしにはそれなりの理由があるんだな、と思います。
婚礼布団は、長く使えるちゃんとしたものを親御さんに用意してもらいましょう。
サテン生地
ここでは、羽毛布団などで使われるサテン生地を紹介します。
通常の生地では縦糸と横糸を交互に交差させて織ってありますが、サテン生地は縦糸が横糸を二つまたいで織ることで表面に縦糸を多く露出し、独特の光沢と柔らかい手触りを作り出しています。
羽毛掛け布団によく使われるサテン生地には、60サテン・80サテン・100単サテン等の種類があります。
これらのサテン生地は数字が糸の番手を表しており、数字が多くなるほど糸が細くなります。
細い糸を使えば生地の手触りは柔らかくなりますから、数字が多いほど良質の生地である、ということが言えます。
(注)ポリエステル繊維に関しては数字が大きくなるほど糸が太くなります。その場合は単位が”dtx”(デシテックス)となります。ちょっと前までは”デニール”を使っていました。ちなみに「1デニール=1.1dtx」です。
座布団
座布団にはお坊さんが使うものを除いて、大きく分けてサイズが2通りあります。
まず一つは「銘仙判」と呼ばれるもので、大きさは55×59cmです。もう一つは「八端判」というサイズで大きさは59×63cmです。
御婚礼の時に用意されるのは、まず間違いなく八端判です。
また、ここに記載したように座布団はクッションと違ってタテとヨコの大きさが違います。
座布団カバーを使われる際にはタテとヨコを間違えないようにしましょう。
シャーリング加工
タオル生地に施される加工です。
タオル生地の表面には”パイル”と呼ばれる糸の輪がびっしり出ています。
この”パイル”の先をカットする加工が「シャーリング加工」です。
シャーリング加工を施すとタオルの表面は柔らかくなります。
また、表面の凹凸が小さくなるのでデザインした柄がきれいに表現できます。
寝床内環境
寝床の中、つまりふとんの中の環境のこと。
安眠しやすい寝床内環境は、一般的には”温度33℃前後”、”湿度50%前後”と言われています。
この環境を”ふとん”と”体温”でどこまで作り出せるか、ということが安眠へのカギとなります。
ストレートネック
ストレートネックは、パソコン・スマートフォンの普及が原因と言われている首の骨の湾曲異常です。
症状としては、肩こり・頭痛・めまい・手のしびれ・目の奥の痛み・吐き気などがあります。
パソコンなどの画面を覗きこむことで、頭と首が前に出て、本来あるべき頸椎のカーブ「頸椎弧」がまっすぐになってしまうことで起きる病気です。
なぜ、ふとん用語で「ストレートネック」を取り上げるかというと、まくらの高さによってはこれと同じ「前傾姿勢」が仰向き寝で寝ている間に起きてしまうからなんです。
気づかないうちにストレートネックになっていることも多いので、気を付けましょう。(特に若い女性に多いようです。)
→ストレートネック・肩こりとまくらの話のページ
睡眠時無呼吸症候群
簡単に言うと、寝ている間に一定時間・回数呼吸が止まる病気です。
「いびきをかいて寝ている」ということが一つの分かりやすい目安となっています。
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、日中に強い眠気や疲労感を感じたり、高血圧・脳卒中・脳梗塞・心臓突然死を引き起こしたりします。かなり怖いですね。
睡眠時無呼吸症候群の原因には、中枢神経の障害(少ない)や肥満、骨格、鼻炎、まくらがあってないことなどがあるようです。
治療法としては、
- CPAP(呼吸器で空気を送り込む)
- マウスピース(あごのかみ合わせの改善で気道の通りを良くする)
- 横向き寝(舌が落ちて気道を塞がないように)
などがありますが、オーダーメイド枕等のまくらの見直し(体型に合ったまくらで顔の角度を調整し空気の通りを良くする)を病院で勧められることも多いです。
制菌加工
抗菌防臭加工の強力なもの、と言ったらわかりやすいかもしれません。
制菌加工には2種類あります。
ひとつは”一般用途”の制菌加工です。
これは一般家庭用の制菌加工で、黄色ブドウ球菌・肺炎かん菌(モノによってはこの2つに大腸菌・緑膿菌が加わります)の増殖を抑制することができます。
一般用途の制菌加工品には黄色の「SEK」マークが付きます。
もう一つは”特定用途”の制菌加工です。
これは、医療機関並びにそれに準ずる施設に使用される製品に施される加工です。
”特定用途”の制菌加工製品は”一般用途”の制菌加工製品が抑制できる菌に加えて「MRSA」の増殖も抑制することができます。
特定用途の制菌加工製品に付けられる「SEK」マークは赤色になっています。
ソロテックス
ふんわりしなやかで弾力性がある新型ポリエステルわた。
「モチモチ」とした独特の触感です。
そば殻まくら
日本古来のまくら。中身を取り除いた「そば」のカラを詰め物にして作ったまくらです。
吸湿性・放熱性・安定性に優れています。
昔は天気のいい日に中身のそば殻を洗って天日に干すなど、上手にお手入れして使っていましたが、最近はそこまでする方はあまりいないので、まれに虫がわいたりします。(チャタテムシ。人間には無害と言われています)
そば殻まくらをお使いの方は、マメに天日干しして、まくら内の水分を飛ばすお手入れをお勧めします。
(たいていの生き物は水分がないと生きられません)
体圧分散
人間は仰向けに寝転んだ時、肩甲骨など骨が出っ張っている部分は体重に押さえられて血行が滞りやすくなります。
そのため、硬すぎる敷き布団で就寝すると血行が滞っている部分の血の循環を良くするため、寝返りが増えます。
寝返りが増えると眠りは浅くなりますから長時間寝ても疲れが取れにくいということになります。
こういった観点から人間が寝ころんだ時の体重のかかり方、つまり”体圧”を背骨が不自然な形にならないようにいかに”分散”するかということが敷きふとん選びの重要な基準となります。
「体圧分散」とは寝返りを減らすための工夫と言い換えてもいいかもしれません。
近年では、「寝返り」は昼間の体の歪みを取るために必要なものである、と言われていて、成人男女で15~17回/一晩寝返りを打つのが望ましいといわれています。(日本睡眠学会)
その「寝返り」を眠りを浅くしないようにどれだけスムーズにこなせるか、という部分も快眠のカギと言えます。
そういった点では、体が埋もれ易い「低反発ウレタン」は、あまりお勧めできません。
→横向き寝がラクな敷きふとん
ダウン
羽毛掛け布団に用いられる鳥の毛には、ダウン(羽毛)とフェザー(羽根)があります。
ダウンはよくタンポポの綿毛に例えられます。
ダウンはファイバーという羽毛のもとになる細い繊維が中心で一つにつながり、ダウンボールという塊を形成しています。
羽毛掛け布団の良し悪しはこのダウンボールの品質で決まる、と言っても過言ではない位このダウンボールの品質は重要です。
一般的にはグースという鳥を寒い地域で大きくなるまで飼育した物から採取したダウンが良いとされています。
良質のダウンは、ダウンボールの一つの塊が大きいため、同じ重量充填してもより大きな嵩を生み、保温力に優れふとんが長持ちします。
ダウン比率
市販されている羽毛掛け布団には必ず「品質表示」が付いています。
ここに表示されている項目の、”ダウン~%”という部分がダウン比率となります。
前項でも書いたように、この比率が高ければ高いほど高品質の羽毛掛け布団といえます。
しかし、”ダウン100%”という羽毛掛け布団は現在ないようです。
(私も見たことがないです)これは、ダウンボールから抜けたファイバーはダウンとしてカウントしない、という考え方と、どれだけ羽毛を選別してもどうしてもフェザーが混じってしまう、ということが原因のようです。
よく、羽毛布団と羽根布団を同じものだと思っている方がおられますが、この二つはまったく異なる品質のふとんです。
ダウン比率が50%以下の掛け布団は”羽毛布団”ではなく、”羽根布団”と表示しなくてはなりません。
このダウン比率については各メーカーの自主表示という部分が大きいので、メーカーが違うと同じパーセンテージでも品質が異なる、といったことがあります。
そこで羽毛の品質を示す「新たな単位」として使われ始めたのが、「かさ高性」「ダウンパワー(DP)」表示です。
ダウンパワー(DP)
↑羽毛の検査室。気温と湿度を一定に保ってます↑
前項で触れた、羽毛の品質を表すもっとも新しい表示です。
ナントカ㎤/g(立方センチ/グラム)という単位で表します。
この数値が大きければ大きいほど良質な暖かい羽毛です。
測定方法は、湿度と温度を一定に保った部屋でアンナ事やコンナ事をして測ります(笑)←測定方法は基本的に同じことの繰り返しで、つまらないので割愛します。
ダウンプルーフ加工
羽毛掛け布団に用いられる、ほぼすべての側生地に施される加工です。
もし、ダウンプルーフ加工をしていない生地で羽毛掛け布団を作るとどうなるでしょうか?
答えは「羽毛が生地から吹き出します」。
普通の布地は拡大すると、繊維と繊維の間が網の目のように開いています。
普通の布地に羽毛を吹き込むと、羽毛の繊維は細いですから、この隙間から際限なく繊維が出てきてしまうんです。
フェザーはもっと悲惨です。
フェザーには軸が付いていますから、この堅い軸が繊維と繊維の隙間の穴に刺さります。
フェザーが刺さるとその隙間はより大きくなり、前より一層羽毛やフェザーが吹き易くなります。
こうしたことを防ぐため、羽毛掛け布団に使用される側生地は生地に圧力をかけて繊維と繊維の間をつぶすような加工が掛けてあります。
これが、ダウンプルーフ加工です。
ダウンプルーフ加工をかけられた生地は、無加工の生地より生地が硬くなったり、通気性が悪くなったりしますが、この加工を掛けないと羽毛掛け布団の生地として使用できないため、生地に掛ける圧力を羽毛が吹かないギリギリの力にとどめたり、使用する生地の繊維を細くすることでこういった問題を解決しています。
また、メーカーによっては羽毛を一度ダウンプルーフ加工をかけた生地に吹き込んだのち、無加工の柔らかい生地で綴じたり、無加工の綿生地の裏にゴアテックスメンブレンという高密度生地を張り合わせて使用したりいろいろな工夫をしているところもあります。
ダウンボール
”段ボール”ではありません。(笑)羽毛のかたまりのことです。
ダウンボールとは、ファイバーという羽毛のもとになる細い繊維が中心で一つにつながった塊のことをいいます。
例えるならばタンポポの綿毛のような形状です。
発達して大きいダウンボールで羽毛掛け布団を作ると、上質で暖かい長持ちするふとんが出来ます。
ダックダウン
DUCK=”アヒル”のDOWN=”綿毛(羽毛)”。
一般的にはグースダウンよりも安価です(しかし、羽毛の最高級品アイダーはダックダウンの一種です)。
アヒルは羽毛を採取した後、その肉が食用に用いられる(北京ダックが有名ですよね。)ため肉が硬くなる前、つまりアヒルが大きく成長する前に羽毛を採取されます。
そのためダウンボールが未成熟で小さい物が多いようです。
また、アヒルはフェザーの軸の中に動物性タンパク質が入っているため羽毛独特の匂いが出やすいという欠点があります。(グースなどの水鳥はフェザーの軸の中が空洞になっているようです。)
しかし、羽毛掛け布団を手ごろな値段で提供するためにはグースダウンよりコストを抑えられ、ある程度の品質を保証できるダックダウンは大変重要です。
近年ではグースダウンの急激な値上がりにより、ダックダウンの需要が増えています。
超長綿
繊維が非常に細くて長い綿。
この超長綿を用いて作った生地は非常に滑らかで肌ざわりも柔らかい反面、糸が細いため同じ面積の生地を織るのに、より沢山の糸を必要とします。
つまり、超長綿生地は高級品なんです。
この生地は、高級羽毛掛け布団や、高級なふとんカバーに使われます。
手引き真綿
蚕蛾(カイコガ)がサナギになる時作る繭を、熱湯などで処理し、一つ一つ人間の手で剥いた上で薄く伸ばして、ハンカチ位の大きさの角真綿を作ります。
さらにこれを二人で引っ張って広げます(これが”手引き”と呼ばれます)。
この工程を何百回と繰り返し、手引きの真綿をふとんの大きさに重ねた物が”真綿布団”です。
手引き真綿はカイコが吐いた絹糸の繊維が全く切れていないのが特徴で、綿が片寄りにくく、ホコリもあまり出ません。
また、真綿は嵩は出にくいですがその優れたフィット性により、布団と体の間に隙間を作りません。さらに、吸湿性と放湿性(湿気を吸って外部に出す力)にも優れています。
蚕の繭には蚕が成虫になるまでの間、外部の寒暖の差や、湿気からサナギを守る役目がありますからこれらの能力に優れるのでしょう。
低反発ウレタン
手で押さえるとジンワリ沈んで、手を離すとゆっくり戻る、こんな硬さをもつウレタンです。寝具では敷き布団や枕によく使われていました。
低反発ウレタンの敷き布団は、使っている人の体に合わせてその形を変えるため体重を上手に分散すると言われています。
が、そんなにうまくはいかないようです。
しかし、ウレタンは石油化学製品ですから吸水性・吸湿性というものはありません。
そのため、汗をかくと蒸れやすい、夏は蒸れて暑い、という欠点もあります。
こうした欠点を補うため、低反発ウレタンの敷き布団はウレタンを立体的にカットしたり、スリットを打ったりして通気性(透湿性)を上げているものが多いです。
また、常温では柔らかい低反発ウレタンも(使っているウレタンの品質によっては)気温が低くなると硬化してしまうことがあるので、粗悪品には注意が必要です。
デュエットタイプ掛けふとん
冬用の羽毛掛け布団の羽毛充填量は、シングルサイズで1.3kg前後です。
”デュエットタイプ掛け布団”は充填量0.8kg前後の”羽毛合い掛け布団”と充填量0.3kg前後の”羽毛肌掛け布団”をそれぞれの布団の同じ位置に付いたホックで止める構造となっています。
これにより、冬場は2枚を合わせて冬布団として使用し、春や秋は0.8kg前後の合い掛け布団、夏場は0.3kg前後の肌布団を使う、というように大変機能的に優れた作りとなっています。
この布団の欠点は、生地が多く必要になる分値段が割高になるという点と、同じく生地を多く使っているため冬布団として使う際はふつうの羽毛掛け布団より重くなるというところでしょうか。
実際このデュエットタイプ羽毛掛け布団を入れたふとんのバッグを持つと普通の羽毛掛け布団とは明らかに違う重さを実感します。
寝姿勢
人間が横たわったときの姿勢です。
”直立した時の姿勢をそのまま横にした状態”が良い寝姿勢だと言われています。
人間が横たわったとき、頭部に8%、胸部(つまり背中)に33%、臀部(お尻の周辺)に44%、脚部に15%の体重がかかると言われています。
そのため、柔らかすぎる敷き布団で就寝すると臀部が沈み込んで体が”くの字”になり、寝ている間の腰痛の原因になります。
良い寝姿勢を保つためには、このように部位によって異なる重さをそれぞれの力で支えてあげる必要があります。
肌掛けふとん
夏場に使用する薄めの掛け布団です。
詰め物が羽毛以外のものでポリエステルわた・綿わた・羊毛わた等があります。
羽根布団
ダウン(羽毛)の比率が50%以下の掛け布団です。
ダウンの含有量が少ないので、羽毛掛け布団と比べて嵩が出ません。そのため充填量を増やしているものが多いです。(増量タイプ、とかうたっています)
また、羽根の軸がチクチクした肌ざわりを生むので(笑)、寝心地もよくありません。
掛け布団を安価に製造する、という目的では羽根を使うという方法が一番でしょう。
しかし、私は羽根布団には寝たくありません(笑)。
羽根布団に寝るなら、綿わたのふとんやポリエステルのふとんの方が安眠できると個人的には思っています。
パイプまくら
プラスティックのストローを輪切りにしたような形状の「パイプ」が充填されたまくらです。
位置的には「そばまくら」の現代版というところでしょうか。
そばと違って虫がわかない代わりに、吸湿性・吸熱性はほぼゼロです。
取り扱いが簡単で安価に製造できるため、現代で最も普及してます。パイプの大きさ・硬さによって値段はさまざまです。
PCM素材
NASAが宇宙服のために考案した温度調節素材です。
PCM(phase change materials)の超微粒子に閉じ込められた特殊物質が、使用環境に応じて吸熱、放熱を繰り返し、睡眠中の体温状態に適した温度へと自然調節します。(西川リビングカタログより)
ムズカシイ説明ですが、実物を触るとよくわかります。
このPCM素材は気温が高い時に触るとヒンヤリします。
側生地にこのPCM素材を使用した枕は夏でも非常に涼しく、快適に頭を冷やしてくれます。
フェザー
羽根です。羽根とは、硬い軸を持つ鳥の毛です。
フェザーの中でもスモールフェザーは羽根枕の充填物に使われています。
羽毛のような軽さや嵩高性はありませんが、コシがあるので重さがかかる場所(まくらや敷きパット)に使用するには羽毛より適しています。
ふとん定番サイズ表
掛けふとん | 敷きふとん | ベットパット | まくら |
シングルロングサイズ (SL)150×210cm |
シングルロングサイズ (SL)100×210cm |
シングルサイズ (S)100×200cm |
Sサイズ 43×63cm |
セミダブルサイズ (SD)170×210cm |
セミダブルサイズ (SD)120×200cm |
||
ダブルサイズ (DL)190×210cm |
ダブルサイズ (DL)140×210cm |
ダブルサイズ (D)140×200cm |
Lサイズ 50×70cm |
クィーンサイズ (Q)210×210cm |
クィーンサイズ (Q)160×200cm |
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キングサイズ (K)230×210cm |
キングサイズ (K)180×200cm |
(注)一般的な寝具メーカーの定番サイズです。ベットのメーカーでは(WD)ワイドダブルというサイズがあったり、メーカーによってクィーンサイズの大きさが違ったりと、表記が統一されていないのでここでは触れません。
ホロフィルⅡ
インビスタ社が製造しているハイテクポリエステル繊維。
繊維の切断面を拡大してみると、4つ穴があいています(中空4穴構造)。
この穴のために軽くて柔らかいわたとなっています。
繊維が切れにくく、また洗濯がきくのでダニ・ホコリアレルギーの方に最適です。
インビスタ社の生産するポリエステル繊維の中で最も安価な素材です。
マイクロファイバー
8マイクロメートル以下の極細繊維(髪の毛の100分の1の太さ)です。
ハンカチや、タオル、毛布、敷きパットに使われています。
繊維が細いので、手触りが良くメーク落としや眼鏡拭きなどにも使われるようです。
マイクロファイバーを使って作られた毛布は、嵩が出にくく重たいものが多いようです。
マイクロマティーク
繊維の太さが0.7デニール(シルクで1.0デニール、綿で1.5デニール)のポリエステル極細繊維で、インビスタ社の製品です。
ポリエステル繊維でありながら吸水性を備え、軽くて風合いの良い繊維です。
毛布や敷きパットに主に利用されています。
マイクロマティークで作った毛布は軽くて暖かい上、アクリル毛布のようにずれないという優れた特徴があります。
マザーグースダウン
羽毛を採取するガチョウを大きく育て、ダウンの一つの塊(ダウンボール)を普通より大きく成長させたダウンのことです。
この羽毛を充填した掛け布団は、一般的なグースダウンより嵩が出るので、軽くて暖かく仕上がります。
また、羽毛布団の寿命も長いです。
マザーグースダウンは鳥の飼育期間が長いので原毛の値段が高くなります。
そのため、マザーグースダウンを充填した羽毛掛け布団は他の羽毛掛け布団より高価になります。
真綿
熱水などで処理したカイコの繭を手で引き延ばし、何枚も人の手で重ねて作った「わた」が「真綿」です。
真綿で作った布団は「真綿布団」と呼ばれ、蚕の吐いた絹糸がほとんど切れていないという特徴があります。
繊維が切れていないのでホコリが出にくく、繊維の組成が人間のタンパク質とよく似ているので体内に入ってもアレルギーを引き起こしにくいです。
また真綿は吸湿性・放湿性に優れているため寝床内が蒸れず、快適に保たれます。
さらに、真綿のもう一つの特徴として抜群のフィット性があります。
真綿の掛け布団は体に吸いつくようにフィットするので、ふとんと体の間に隙間が出来ず暖かいです。
無撚糸
通常の糸は、繊維をひねって一本にしてありますが、無撚糸はひねりが入っていないので綿本来の柔らかさをそのまま残しています。
抜群の柔らかさと吸水性が特徴です。
羊毛
つまり、ヒツジの毛です。
重さの割に嵩が出にくいので掛け布団に使われることは少ないです。
一般的には毛布や敷き布団の詰め物等に多く使われます。
羊毛のかわった特徴として”水をはじいて湿気を吸収する”ということがあります。
そういった面でも、湿気がたまりやすい敷き布団などには最適な素材と言えます。