先日、たまたまハンガリーの羽毛生産者の方にお話を聞く機会がありました。
その時のお話しをちょっと紹介してみます。そのハンガリーの羽毛生産者さんはグースの飼育を生業とされていて、
ハンガリー産グースダウンへの熱い思いが凄くて…話が長かったです。
さらにその時の通訳さんは、あまり日本語が得意でない方で…
後で要約されたお話を聞くと、とても興味深い事をお話されていて
…もっと突っ込んで質問したかったな、と思いました。
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ハンガリー産のマザーグースダウンとそれ以外のグースダウンを比較
上の2つの原毛、差が分かりますか?
”原毛その1”が”ハンガリー産マザーグースダウン”
”原毛その2”が”そのほかの国のグースダウン”です。
その他の国のグースダウンは、羽毛が少ないのではなく
ダウンボールの密度が低いんです。なんだかスカスカしてるように見えますよね?
実際に原毛を握って比較してみると、ハンガリー産マザーグースダウンは…
- コシが強い。
- しっかり詰まったボリューム感がある。
- 原毛を握った手を開くと、ブワッと復元する。
という感触でした。
※何?コレ違う!!なんか全然違う?!というのが率直な感想でした。
大事なのは羽毛のリカバリングパワー(回復力)だ
ハンガリー羽毛の生産者さんが言われていたのが、
「大事なのは、羽毛のリカバリングパワー(回復力)だ」と言う事。
当日は、「原毛を握ってはなす」事で「リカバリングパワー」の比較体験が出来ました。
私が羽毛布団のふくらみを調べる時は、羽毛布団の端っこを両手ではさんで
その反発力を見ます。いい羽毛が入っていると何とも言えない「しっかり詰まった」感じがあるんです。
これ、実は意識しないでその布団の「リカバリングパワー」を見ていたんですね。
リカバリングパワーは、
- 羽毛をギュッと圧縮した後の”かさ”の回復力
- 長年使った羽毛の”かさ減り”の度合
という意味で、羽毛布団の保温力と耐久性に直結します。
※現在は、リカバリングパワーを表す指標は羽毛布団にはついていません。
一見ボリュームがある嵩髙性の良い羽毛も、保温力や耐久性が低ければ…
すぐ薄くなってしまい、買い替えなくてはならなくなります。
この方は、国際羽毛会議(IDFB)にリカバリングパワーという概念を
提言してらっしゃるそうです。
本国内に流通しているハンガリー羽毛の量は、ハンガリーが輸出した原毛の数倍
そして言われていたのは、
「なんで日本に、あんなたくさんの”ハンガリー産グースダウン”が流通しているんだ」
と言う事です。
この羽毛生産者の方は、ハンガリー羽毛協会のかなり上のポジションについてらっしゃるので
ハンガリー羽毛全体の動向にも詳しい方でした。
一説によると、ハンガリーが輸出したグースダウンの
10倍ものハンガリー産グースダウンが日本国内に流通しているとの事(!?)
これには怒ってらっしゃいました。
そうですよね、丹精込めて品質を守りながら生産している自国の羽毛を
看板だけ盗られてしまったら…。くやしいと思います。
ハンガリー産のちゃんとしたグースダウン、見に来ませんか?
で、その生産業者さんが作った羽毛を直輸入した羽毛が…
ぜひ見に来て下さい。
私は、生産業者さんの熱い思いを聞いて
この羽毛布団のシリーズが一層好きになりました。