最近、枕の詰め物の主流となりつつある「パイプ素材」
パイプ素材が入った「パイプの枕」にはいい点と悪い点があって…
私、まくら職人の考えるいい所と悪い所を紹介します。
いわゆる「オーダー枕」も「パイプ」で高さを調節するものが多いです。
旅館なんかの小さい枕も昔は「そば」素材でしたが、
今は「パイプ」素材であることの方が多いですね。
このページの目次
「パイプ枕」の素材とはどんなもの?
枕に使われる「パイプ」のほとんどはポリエチレン・ポリエチレン樹脂で出来ています。
形はちょうどストローをカットしたような形状です。例えるなら金太郎飴的な形です。例えヘタ…。
前にも触れてますが、パイプ素材は最近では天然枕素材「そば殻」に取って代わっています。
中空な素材でよく似ていますが、入手がラクだったり理由は色々あるかなと。
パイプ枕のいい点・硬さや質感を自由にできる
パイプ素材の”硬さ”や”パイプの径”・”長さ”に変化をつける事で
素材を充填した「パイプ枕」の硬さや風合いを調整する事が出来ます。
たとえば、
- 硬いパイプを使えば”カッチカチ”の枕
- 大きいパイプを使えば”ザクザク”した感じの枕
なんかが出来ます。
パイプ枕のいい点・素材が安価
旅館なんかの枕がそば殻枕からパイプ枕に替ってきたのは
ココが大きいと思います。
素材が安ければ、枕も安く作れます。
パイプ枕のいい点・虫が付きにくい
↑画像はもちろんイメージです。枕にテントウムシは付きません…
パイプ枕はポリエチレンでできています。
石油化学製品は生き物の餌にならないので気になる害虫が付きにくいです。
そば殻枕はその点、天然素材なので虫が付くことがあります。
代表的なのは「チャタテムシ」ですが、こまめに干すことで防止もできます。
パイプ枕のいい点・通気性がいい
パイプ枕は通気性に優れています。
中空形状でしかも穴が貫通していますからスースーです。
ポリエステルわたや羽根の枕は空気がこもりやすいので
通気性に難があり、ムレやすいんです。
夏場になると”頭が暑いわー”となりやすいですね。
パイプ枕のいい点・だいたい洗える
ほとんどのパイプ枕は洗えます。
皮脂などの汚れが付きやすい枕は洗濯できると便利です。
ただし、実際に洗うとパイプ内の水分が乾きにくいので
丸1日以上干さないと完全に乾燥しません。(実際に洗った体験から)
洗えないパイプ枕は、パイプ以外の部分で
洗えないウレタンを使っていたり、生地が洗濯対応していなかったりします。
パイプ枕のいい点・高さの調節がラク
パイプを充填する小部屋をいくつか作っておけば
部位ごとの高さの調整が可能です。
パイプ枕の悪い点・ものによってはうるさくて眠れない
パイプ枕が嫌いなお客様がよく言われるのは
「ジャラジャラうるさくて眠れない」という事。
一昔前のパイプ枕(いまでもそういうパイプ枕はありますが)は、
パイプが硬くて粒が大きかったんです。
そういうパイプ枕は、
寝返りをうつと”ガサっ”とか”ジャリっ”とか音がして眠れないんです。
そういう枕で懲りている方は、パイプ枕を嫌います。当然ですよね。
パイプ枕の悪い点・吸水性と吸湿性がゼロ
パイプ素材のポリエチレンは
石油化学製品なので吸水性と吸湿性はありません。
形状的には通気性が良いのですが
ひとたび汗をかくとベタベタして蒸れやすいです。
パイプ枕には吸水性の高い側生地を使うなど、
工夫を凝らす必要があります。
その点では、そば殻は吸湿性が高いのでいいですね。
パイプ枕の悪い点・硬くなりやすい
パイプ枕は詰めれば詰めるほど硬くなります。
柔らかいパイプを使っても、です。オーダー枕を作っているとわかります。
硬い枕は、耳や顔など敏感な部分を圧迫します。
ずっと硬いモノに顔を当てて寝てたら…寝返りが増えて眠りが浅くなります。
この状況は、長年パイプ枕を使うと顕著になります。
古くなったパイプ枕は、横向き寝した時に耳が痛くて目が覚めたりします。
いい点も悪い点もありますが…
いい点も悪い点もあるパイプ枕ですが、
現在主流であることにはまちがいありません。
パイプ枕の弱点とうまく付き合って
快適な睡眠を手に入れたいものですね。
当店は広島市中区十日市町でオーダー枕を作っている寝具専門店です。