羽毛布団を見に来られたお客様にまずお伝えする事が
「羽毛にはダックダウンとグースダウンがある」という事なんです。
このダックとグースには違いがありまして…
結論を言うとダックダウンとグースダウンでは
羽毛布団の耐久性と保温力が違っていて、共にグースの方が優れています。
今日はダックとグースの違いを紹介します。
その前に…
私は寝具メーカー勤務を経て寝具専門店を経営しています。
睡眠環境・寝具指導士という資格を持ち、
ハンガリーに羽毛の産地視察に赴いた事もありまして
業界内でもまあまあ詳しい方だと思っています。
ダックとグースの違い:生物学的に違う生き物
ダックはアヒル・鴨で、グースはガチョウ。
違う生き物(鳥)です。
グースはダックより二回りくらい体格が大きく
その分取れる羽毛もグースの方が発達しやすいと言われています。
つまりグースダウンは”暖かい”・”丈夫な”羽毛が採れやすいという事です。
採れ”やすい”、というのは生育期間の長さや産地、採取後の扱いによって
羽毛の品質は変わるので”あくまで同じ条件ならば”そうだという事です。
細かい事を言うとダックとグースでは羽毛の構造がやや異なっていて
羽毛を拡大すると羽毛の毛の一本一本に付いている突起の位置が
異なります。(→ページ中ほどに拡大図とダックとグースの羽毛の違いの説明が)
ダックとグースの違い:体格・生育期間によるダウンボールの違い
上画像はハンガリーの羽毛工場での一コマです。
ダックとグースは羽毛の塊(ダウンボール)の大きさに差があります。
一般的に体格の大きいグースの方がダウンボールが大きく緻密です。
実は羽毛は食肉の副産物です。
美味しい鳥肉の採取を目的に育てられているため飼育期間が大体決まっています。
ハンガリーの飼育場で聞いたのですが、
- ダックは一般的な生育期間が55~60日
- グースは一般的な生育期間が100日(室内2週間+屋外12週間)
なんだそうです。
飼育期間が長いと羽毛も発達するのでより差が出ます。
またハンガリーの羽毛を輸出しているメーカーさんにお聞きしたのですが
「ダックダウンは採取後すぐに洗浄しないと羽肢が抜けてボロボロになる」そうで
やはりダックダウンは組成が脆いようです。
ダックとグースの違い:脂分も違う
先ほど食肉の話が出ましたが、
ハンガリー視察時に食肉工場で食べさせていただいた
ダック(鴨)が本当に美味しかったんです。
チェリバリー種の生育期間が42日間のものだそうで
上品な脂がのっていて、旨味も強いお世辞抜きで人生最高の鳥肉でした。
一般的にダックダウンは油脂分がグースより多いと言われていて
その油脂分は羽毛独特の臭いの原因の一つとされています。
余談ですが、ハンガリーの鳥生産地の方に聞くと
”グース肉も若いものは脂がのっている。
しかしマザーグースクラスまで長期飼育すると肉がパサパサになる”
そうです。
これはマザーグースの方が臭いにくく、
良質な羽毛が採れる理由の一つと言っていいでしょう。
ダックとグースの違い:まとめ
上画像は同じくハンガリーの羽毛工場のもの。
分別前の羽毛なのでフェザーも沢山見えますね。
ダックダウンとグースダウンの違いをまとめると
- グースダウンの方が暖かく、長持ち
- グースダウンの方が臭いにくい
という事になります。
ダウンの比率で表される品質の差もあります。
ダウン比率とグース・ダックの組み合わせの種類として
- ダックダウン85%
- ダックダウン90%
- ダックダウン93%
- グースダウン90%
- グースダウン93%
- グースダウン95%
- グースダウン98%
があります。
羽毛のランクの順番はどうなの?と時々お客様に聞かれますが
ダックダウンの93%はグースダウンの90%に勝てないのではないかと考えます。
理由はダックダウンの羽毛の脆さと臭いです。
ダウン比率の高いダックダウンは一見ダウンパワーがでて高品質そうでも、
臭いやすさと持続性でグースダウンには勝てません。
各種羽毛布団が店頭にございます。良かったら見に来てくださいね