羽毛原料の買い付けをされている筋から羽毛原料の今後の動向
の情報が入ったのでまとめてみます。
結論から言うと羽毛布団の今後の見通しは「高くなる」ようです。
理由は皆さんご存知の鳥インフルエンザと物価高です。まずは近況から
ヨーロッパの羽毛市場の近況
ダック生産量ヨーロッパ1位のフランスは
昨年から鳥インフルエンザの発生により生産量が壊滅的に減少。
生産減により羽毛が値上がりしたようです。
今年の9月に生産量が戻るとの見通しも、
今年5月に再び鳥インフルエンザが発生し
7万5千羽のダックが殺処分されました。これも値上がり要因です。
国内でも鶏に鳥インフルエンザが流行した際
殺処分したため卵の生産量が減少し現在も価格が高騰中です。
羽毛と卵で生産物は違えど同じような経過をたどると見ていいでしょう。
また、中国・ヨーロッパ共に
ロシアのウクライナ侵攻の影響で
穀物・エネルギー関係の値上がりの影響も大きいようです。
ヨーロッパの羽毛市場の今後
↑ハンガリーの羽毛生産地視察時に見たひまわり畑です。
某ロックグループのアルバムの表紙っぽいな、と思い撮影。
鳥インフルエンザはコロナ禍以前からも
たびたび問題になっていましたが、EUは鳥にワクチンを投与する事に決定。
今年の10月1日から投与開始の予定です。
ワクチンの投与を開始するまでは鳥の飼育調整が入るそうで
生産量が減ります。これも値上がり材料になりそうです。
また、ワクチン投与によるコスト高で
食肉のコストは10%上がると言われていて
羽毛もコストが上がると見ていいと思います。
また、ワクチンを投与した鳥の肉に対して
消費者がどういう反応をするのかが読めません。
”ワクチン肉食べたくない”という風潮になると生産量が減り
羽毛も減産に。
これらの複数の値上がり要因があるため、
やはりヨーロッパ市場の羽毛は値上がり必至です。
ヨーロッパ産(フランス・ハンガリー・ポーランドなど)の羽毛は
- ダックダウン→若干の値上がり
- グースダウン・マザーグースダウン→さらに値上がり
となりそうです。
中国の羽毛市場の近況
中国は昨年のコロナの影響で
フランスと同じくグース・ダックともに鳥の生産量が激減していて
物価の高騰も飼育コストを上げています。値上がり要因です。
また、(これは消費の面になりますが)中国国内でグースの需要が増えています。
しかも、中国産の羽毛ではなく付加価値の高いヨーロッパ産の羽毛の人気が高まっています。
10年くらい前でしょうか。中国でダウンジャケットが売れ始めて
ダックダウンが世界的に足りなくなり、高騰した事がありました。
あれを思い起こすと中国で消費量が増加するため
ヨーロッパ産のグースダウンはさらに高騰しそうです。
中国の羽毛市場の今後
今後コロナの影響で激減した中国の鳥の生産量は
9月頃に回復する見込みです。
中国羽毛協会は品質向上とトレーサビリティの徹底を行うと言っていて
数年内に中国ダウンのトレースシステムを導入するとか。
これがどこまで辿れるシステムなのか不明ですが
中国産羽毛の品質向上が期待できるかもしれません。
ちなみに、ハンガリーのトレースシステムだと
羽毛のベール(大きな包み)に付いたバーコードを読み込むことで
その羽毛の生産農家やその親鳥の出身農場、餌まで辿れるようになっていました。
中国のトレースシステムがどこまでのものになるのか、
また誤魔化しなくちゃんと機能するのか今後に注意が必要です。
これらの状況からみて今後の中国羽毛市場は
- ダックダウン:秋頃に値下がり
- グースダウン:横這いもしくは値上がり
となりそうです。
ところが見通しどおりにはいかない事も
↑ドナウ川にかかる鎖橋。ハンガリー視察時に撮影
ところがこれらの見通しどおりにならない事もあります。
”見通し通りにならない商品”と言った方がいいかもしれません。
コストが安い”中国産ダック”を混ぜて嵩増しすると
”値上がりしない安いヨーロッパ産グースダウン”が出来てしまいます。
特にネット販売系は注意が必要かと。購入時に実物が見られないですから。
値上がりが引き金になって数年前にも報道されたような
産地偽装がない事を祈っています。
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