暖かく耐久性の良い羽毛を作り出すグースの飼育農場を訪ねました。ハンガリー産グースダウンのスタートはやはり農場です。
今回は、羽毛製造会社であるFBZ社と強いつながりのある
スローターハウス(食肉処理場)のT社が管理するある農場にお邪魔しました。
ひとつ前の記事:当店のハンガリー直輸入羽毛の産地を訪ねて・その1序章
まずは雛鳥の飼育舎に
ハンガリーでは、飼育に対する規則が…
- 生後2週間は室内飼育
- その後は屋外で12週間飼育
と決められているそうです。
雛鳥の飼育施設に入る際には、
- 白い防護服的な不織布のつなぎを着て
- さらに足にはビニールの袋をかぶせ
- さらに、その足を消毒液に浸して消毒する
という段階を経ないと、中に入れては頂けません。
完成図がこちら↓
でも、去年も起きてしまった「鳥インフルエンザ」を考えると
このくらいの用心は仕方がないですね。
※去年の鳥インフルエンザ禍ではハンガリー国内で300万羽の鳥が殺処分された。
グース雛鳥の飼育舎に入れて頂いたら…
で、中に入りますと…
ピンクのクチバシ・クリーム色の体・ピヨピヨという鳴き声…
40過ぎのオジサンながら「ウワー、キミらカワイイね~!」と声が出ます。
雛鳥「ピヨ、ピヨ…ピヨ」
まくら職人「どうしたん?んー、んー、そうかそうか~」
鳥と人間、さらにハンガリー語と日本語という垣根は越えられるはずもなく…
意思の疎通は出来ません。でも話しかけずにはいられないカワユサ。
フト遠くまで見渡すと…あ、凄い数だコレ。
グースの雛じゅうたん。でも、雛が普通に歩ける密度です。
ちゃんとグースの生活に気を使っています。
↑動画も撮りました。うまく見られるかな?
今回は行っていませんが(たぶん衛生上の問題で誰も入れない)
この雛鳥を孵す「孵化場(ふかば)」もあります。
孵化場では生んだ農場別にタマゴにナンバーが振られていて
(マジックで殻に書いているの、と言われていたような)
孵化率と病気の管理がなされています。
レギュラーグース農場へ
ちょっとグースの説明すると、
グースはレギュラーグースとマザーグースに分類されます。
グースダウン
- レギュラーグース・・・食肉用グースで卵は産まない。ホワイトとシルバーのグースがありシルバーはフォアグラ用グース。
- マザーグース・・・繁殖用グース。食肉にはあまりむかない(グースは大きくなると肉がパサパサに)
赤の太字は、羽毛を語る上で大事なポイントです。
この中のレギュラーホワイトグースを見せて頂きました。
(グースが真っ白でしょ。ホワイトグースです)
”グワァグワァ”と騒がしく鳴き、柵の中をみんなで右往左往しています。
ここでもグースたちは、ゆったりと育ててもらっています。
真ん中にあるのは、おそらく牧草の干し草。
グースに食べられてウェストにくびれができています。
このグース、大きさは公園のハクチョウくらい。
これで生後4週間です。すごく大きいですね。
食肉面でも、これだけ成長が早く大きくなるとたくさんの肉が取れて効率が良いはず。
もちろん、羽毛もしっかり育ちます。
生育と共に抜け落ちた羽毛と羽根(ダウンとフェザー)
真っ白な雪のようです。
グースをかこっている柵の高さは膝くらいでした。
まくら職人「あれ?これって、グースが逃げたりしませんか?」
農場の方「お腹いっぱい食べてるので柵を越えられません。そもそも太って飛べません。」
グースさん達、良い生活をされているようです…。
まあ、そもそも食肉用ですから太ってないとおいしくないですよね。
羽毛布団に利用されている「グース」・「ダック」って
そもそも何のために飼育されているかご存知ですか?
実は、全て食肉用なんです。羽毛はその副産物でしかない。
グースもダックも全て食肉用に飼育されています
私も勘違いしていたのですが、
羽毛採取用に育てられている鳥はいません。グースでもダックでも。
グース・ダック共に食肉用に飼育されていて、羽毛や羽根は肉を取った後に出る副産物です。
極端に言えば、食肉業者さん(スローターハウス)にとって、羽毛はそこまで重要でない生産物です。
ちなみに羽毛採取用のみで飼育すると…おそらく羽毛原料のコストがものすごく上がります。
超高級羽毛布団になるでしょう。
※そういえばアイダーダウンは、羽毛採取目的のみで「飼育」というか「放牧」されていますね。
ちなみにアイダーの羽毛布団(1.0kg入り)は、今の販売価格が100万円~150万円くらいかな?
なので、羽毛を精製する羽毛販売業者さんは食肉業者さん(スローターハウス)
から羽毛を買っているにもかかわらず、立場は弱いんです。
買う羽毛に注文をつけたりとかは普通はできないんです。
これが「良い羽毛」「良くない羽毛」ができてしまう大きな原因の一つで…
「臭いにくく」「羽毛のふくらみが良く」「耐久性が高い」
「当店のハンガリー直輸入羽毛」を生産することができている理由なんです。
次は、その3食肉処理場(スローターハウス)編です。
当店は、広島市中区十日市町の寝具専門店です。
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