先日以前から”一度行かないと”と思っていた「羽毛布団リフォーム工場」を見学させて頂きました。
作業現場の方の”こだわり”や”生の声”を聞かせて頂く事は寝具専門店として大事な事だと思うんです。山を越え橋を渡り、海を越え…某他県へ。
羽毛リフォーム工場は遠かったです。

たどり着いたのはちょっと郊外の小さな路地に面した場所。
駐車場に車を止めると、とても静かで羽毛特有の匂いもなく
”本当にここで合っているのだろうか?”と。

工場の中を覗いてみると”遠くからありがとうございます。どうぞ!”
と社長さんが出迎えて下さいました。早速案内開始です。

1.入荷した羽毛布団の計量・計測

羽毛ふとんリフォームの工程その1。入荷した羽毛布団を4つ折りにして厚みを測る台の画像

まず入荷したリフォームする羽毛布団を計量・計測します。
上の画像の台の上に4つ折りにした羽毛布団を置いて
着荷時の羽毛ふとんの厚みを計測します。

リフォームする羽毛布団の総重量を測っている画像

次にリフォームする羽毛布団の重量を
生地付きのまま計測します。
つまり総重量を記録するんですね。

公定水分率の関係で羽毛ふとんの品質表示に記載されている
羽毛重量と実際の羽毛重量にズレがある事もありますし、
そもそもの品質表示が読めない事も多々あります。
(リフォームする羽毛布団はそもそも古いものが多いため)
そのための計量です。

↓ちなみにこちらは当店がリフォームの依頼している羽毛布団です。
見つけて嬉しかったのでついつい撮影しました。

当店の依頼しているリフォーム羽毛布団の画像当店のリフォームも、しっかりお願いしますね!

2.リフォームする羽毛布団の解体

リフォームする羽毛布団の解体用マシン画像

次に羽毛布団を解体します。
上の設備の中で羽毛布団を吊り、
生地を裂いて羽毛を取り出します。

次に出てきますが
一度生地を裂いて解体するのがポイント。

羽毛ふとんリフォームの解体設備の下部。ここから解体した羽毛を吸い取る

解体設備の下部は上の画像のように穴が開いていて
ここから解体した羽毛を吸い込み、回収します。

リフォームする羽毛布団の生地の重さを量る計りの画像

羽毛を取り出した後の生地の重量を
上のはかりで量ります。

最初に量った羽毛布団の総重量から
生地の重さを引いて充填羽毛の重量を計算・記録します。

3.解体した羽毛を40℃のお湯で洗浄

羽毛ふとんの解体設備から吸引された羽毛が通るパイプの画像。天井付近にある

解体された羽毛は上の画像の天井付近の
パイプを通って直接羽毛専用洗濯機に。



ドラム型洗濯機ですね。
この洗濯機でしっかり洗浄します。

洗浄は皮脂汚れが落ちやすい40度のお湯を使います。
洗浄後すすぎを4回脱水を3回。しっかり丁寧にすすいでいます。

お気づきだと思いますが、解体後洗うため
羽毛1枚づつしか洗えません。

羽毛専用洗濯機の蓋。羽毛をそのまま洗うため羽毛が付着している

羽毛だけにして洗っているため
洗濯機の蓋に羽毛が付着していますね。

この方法だと他の方の羽毛布団と分けて洗うため安心ですし、
解体して洗うと羽毛の奥までしっかり洗えます。
羽毛だけで洗うとこの後の工程でも良い事があります。

4.洗浄した羽毛を乾燥・除塵する

洗浄した羽毛を乾燥するマシンの画像。右の四角い箱が制御盤

洗浄・脱水した羽毛を乾燥します。

上のマシン、右の四角い箱が乾燥の制御盤です。
設定は窯の温度が120℃で内部温度は80℃ほど。

内部にセンサーがあり
内部の湿度が9%を切るまで丁寧に乾燥させます。

羽毛だけの状態で洗浄し乾燥すると
長年使って小さなダンゴになっていた
羽毛がふんわり開きます。

洗浄前の塊になった羽毛の画像。

↑洗浄前の羽毛。小さな団子状に丸まっています。
↓洗浄・乾燥後の羽毛。団子状の羽毛がフンワリ開いています。

洗浄・乾燥後の羽毛。団子状の羽毛が開いている

洗浄した羽毛の乾燥と除塵機の画像。内部に銀色で円筒形のザルが見える。

上の画像が冷却・除塵機です。
内部に小さい穴の開いた銀色の円筒が見えます。

乾燥冷却器内の円筒形のザル。小さな穴が開いていて遠心力でこの穴からファイバーを飛ばして分離します。

この円筒の中に羽毛を入れて回転させ
遠心力でファイバー(長年使って崩れた羽毛)
を取り除きます。

リフォームする羽毛布団の中に貯まっていたファイバーの画像。羽毛が崩れているため除去する

上の画像がファイバーです。
羽毛が崩れて粉になっているため
何キロ入れても嵩は出ませんし暖かくありません。

羽毛が崩れたファイバーを集める集塵機の画像

上の画像はファイバーを集める集塵機。
ファイバーは集められて処分されます。

洗浄と乾燥除塵が終わった羽毛の画像。カラフルな袋に詰められている

洗浄が終わった羽毛は
一旦上のように袋詰めされていました。

5.洗浄・乾燥後の羽毛に足し羽毛をして吹き込み



その後風呂桶のような器に洗浄後の羽毛を入れ
指定の足し羽毛を足してブレンド。
バドミントンのラケットで攪拌されていました。
木の棒とかだと静電気で羽毛がくっつくので難しいんですよね。

ブレンドした羽毛を吹き込み機で生地に吹き込んでいる画像。

その後吹き込み機で生地に吹き込んでいきます。
残っている羽毛の重量を見ながらマス目ごとに
吹き込んでいきます。

羽毛のキルト(マス目)の断面って真ん中は四角いですが
両端は三角形です。体積が違うので真ん中を多めに入れるように
計算して加減しています。

羽毛布団リフォームの立体キルト画像

↑端っこのキルトはマチがないでしょ。
こういうちょっとした工夫がされています。

羽毛ふとんリフォームに使う羽毛布団生地の画像

上の画像は吹き込み待ちの羽毛布団生地です。
生地は他の工場で縫製され、こちらに送られます。

6.羽毛布団のリフォームには種類がある

羽毛ふとんのリフォームと呼ばれるものには種類があります。

  1. 羽毛布団を洗わないで解体し、足し羽毛して新しい生地に充填するリフォーム
  2. 羽毛ふとんを解体せずに洗い、足し羽毛して新しい生地に充填するリフォーム
  3. 羽毛ふとんを解体して洗い、足し羽毛して新しい生地に充填するリフォーム

この3種類があります。

今回見学させていただいた
当店の「羽毛ふとんリフォーム」はもちろん3.です。
一番手間をかけているリフォームですね。

1.や2.だとコスト的には抑えられると思うのですが、
工程の途中で出てきた「ファイバーの除去」ができません。

また、工場を案内して下さった社長さんが言われていたのですが
「羽毛布団を解体して羽毛だけにして洗浄・乾燥すると、長年の使用でクリクリに丸まってしまっていた羽毛がフンワリ開くんです。アレを見た時”絶対この方法がいいわ”と思ったんです。」という事。

羽毛がより綺麗にフンワリ回復する”解体後洗い”はお勧めです。

7.羽毛ふとんリフォームご相談下さい



使い込んだ大切な羽毛ふとんのリフォームは
当店までご相談下さい。

価格帯などは下記のページへ。



当店は平和公園の近く、十日市町にあります

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